「もう高校を辞めたい」と思うほどつらいとき、最初に決めるのは退学するかどうかではありません。先に確認したいのは、今日をどう安全に過ごすか、今の在籍を保ったまま使える制度があるか、次の所属先をどう確保するかの三つです。
退学が必要になる場合はあります。ただし、先に退学届を出すと、在籍中なら使えた転校手続き、休学、単位の確認、学校からの紹介などが難しくなることがあります。辞めたい気持ちを否定せず、手続きだけは順番を守ることが大切です。
高校を辞めたいときの結論
| 今の状態 | 最初にすること | 退学判断の時期 |
|---|---|---|
| 今日の登校が限界 | 欠席、遅刻、早退、別室などで今日の負担を下げる | 今日中には決めない |
| 数週間つらさが続いている | 担任以外も含めて学校へ相談し、調整案を出してもらう | 利用できる制度を確認してから |
| 学校環境を変えたい | 転校先の募集時期、単位、費用を確認する | 次の所属先の見通しが立ってから |
| 体調が大きく崩れている | 進路判断と体調への対応を分ける | 体調が悪い日に結論を出さない |
| 安全が脅かされている | 保護者、学校、外部相談先へ連絡し安全を確保する | 安全を確保してから |
大事なのは、「今の高校に残る」か「すぐ辞める」かの二択にしないことです。遅刻登校、別室、保健室、履修調整、休学、転校、定時制、通信制、高卒認定など、間にある選択肢を並べて比較します。
最初の48時間でやること
1.今日一日の負担を下げる
登校するだけで限界なら、まず今日一日の負担を下げます。欠席、遅刻、早退、別室、保健室など、学校とのつながりを完全に切らずに休む方法を確認します。
無理に登校して完全に動けなくなるより、今日を休み、明日以降の相談につなげる方がよい場合があります。休むことと退学を決めることは別です。
朝になると腹痛、頭痛、吐き気、動悸、強い疲労が出る場合は、進路の問題だけにまとめない方がよいことがあります。
高校に入ったのに毎朝つらいときの対処で、学校への伝え方と負担を下げる方法を整理しています。
2.退学届は一度保留する
退学の意思が固まっていても、次の学校へ確認する前に届を出さないようにします。在籍したまま別の高校へ移る場合と、一度退学した後に入り直す場合では、受け入れ時期や必要書類が異なることがあります。
次の学校へ行くことを決めている場合も、先に候補校へ連絡し、現在の高校に在籍したまま手続きを進めるべきか確認します。
3.現在の状況を一枚にまとめる
- 現在の学年と在籍期間
- これまでに修得した単位
- 今年度中に修得できる見込みの単位
- 欠席日数、遅刻、未提出課題
- 現在困っていること
- 学校側がすでに提示した対応
- 本人が避けたい環境
- 次の学校に求める条件
気持ちだけで相談すると、周囲から「もう少し頑張ろう」と返されることがあります。事実と希望を分けて伝えると、具体的な制度や手続きの話へ進みやすくなります。
退学前に学校へ確認する7項目
- 修得済み単位:正式な単位数と科目名を確認します。
- 修得見込み単位:今学期や今年度を終えれば認められる単位があるか確認します。
- 在籍継続の条件:欠席が増えた場合の扱い、進級条件、在籍可能な期限を確認します。
- 休学制度:利用条件、期間、復学手続き、休学中の費用を確認します。
- 転校手続き:転校照会、在学証明、成績や単位に関する書類を確認します。
- 退学後の証明書:在籍期間証明、単位修得証明、成績証明などの発行方法を確認します。
- 学費の扱い:未納分、返金、就学支援金、教材や端末の返却を確認します。
学校から口頭で説明を受けた場合は、あとで家族と確認できるように、書類名、期限、担当者、次の連絡日をメモします。
学校へ送る連絡文例
現在、登校を続けることが難しく、今後の進路を検討しています。退学を決定したという連絡ではありません。休学、転校、通信制・定時制への変更を比較するため、修得済み単位、今年度の修得見込み、在籍を維持できる期限、必要書類について進路担当の先生へ相談したいです。面談可能な日時をご連絡ください。
担任へ話しにくい場合は、学年主任、進路指導担当、養護教諭、スクールカウンセラー、管理職など、別の窓口を使って構いません。
高校を辞める前に比較したい6つの進路
| 選択肢 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 在籍校で調整 | 授業や人間関係の一部を変えれば続けられそう | 調整内容と期限を口約束だけにしない |
| 休学 | 今は進路判断より休養を優先したい | 復学条件、学費、在籍可能期間を確認する |
| 別の全日制高校へ転校 | 毎日通う形は維持しながら環境を変えたい | 募集時期、試験、欠員、単位認定を確認する |
| 定時制高校 | 通学時間帯や授業の進み方を変えたい | 授業時間、通学方法、卒業までの計画を確認する |
| 通信制高校 | 登校頻度や学習方法を変えたい | レポート、登校、試験、支援、総費用を確認する |
| 高卒認定 | 高校在籍より進学資格の確保を優先したい | 高校卒業資格そのものではない点を理解する |
通信制高校と高卒認定の違いでは、学歴の扱い、進学、就職、費用、学習方法を比較しています。
通信制高校を候補にする場合は、通信制高校を考える親子のための選び方も先に確認してください。
転入・編入・休学の違いは学校ごとに確認する
一般には、現在の高校に在籍したまま別の高校へ移る手続きを転入、一度高校を離れた後に入り直す手続きを編入と呼びます。
ただし、受け入れ時期、選考方法、認められる単位、卒業時期は学校ごとに異なります。「高校2年の途中だから、転校先でもそのまま2年生になれる」「今までの単位は全部引き継がれる」と決めつけないようにします。
候補校へ現在の在籍期間と単位の状況を伝え、次の項目を具体的に出してもらいます。
- 転入または編入が可能な月
- 出願期限
- 必要な証明書
- 選考内容
- 認定される可能性がある単位
- 入学後に必要な単位
- 最短の卒業予定時期
- 卒業までに必要な総費用
候補校への質問文例
現在、高校○年で在籍中です。修得済み単位は在籍校へ確認しています。転入または編入が可能な時期、必要書類、選考方法、認定可能な単位、最短の卒業時期、年間総費用を教えてください。出願前に個別相談を希望します。
通信制高校を選ぶときの落とし穴
通信制高校を「毎日通わなくてよい学校」とだけ考えると、入学後に課題管理、登校、試験、費用で困ることがあります。学校ごとに仕組みが異なるため、次を確認します。
- 高校卒業資格を出す学校名
- レポートの量、提出方法、締切
- 登校日の回数、場所、時間
- 試験の回数、会場、追試の条件
- 課題が遅れたときの連絡方法
- 個別指導や学び直しの有無
- 進学・就職支援の内容
- 授業料以外を含む年間総費用
- サポート校や学習施設との契約関係
- 途中で通えなくなった場合の支援
全日制が合わない子に通信制高校はありかでは、現在の困りごとと転校先に必要な支援を対応させる判断表を掲載しています。
通信制高校に向いている人・慎重に選びたい人も、入学前の確認に使えます。
高卒認定を選ぶ前に知っておくこと
高等学校卒業程度認定試験は、高校卒業者と同等以上の学力があることを認定する試験です。合格すると大学、短期大学、専門学校などの受験資格に利用できますが、高校を卒業したことそのものになるわけではありません。
進学先や応募先によって確認事項が変わります。「高卒認定があれば将来は何も困らない」「就職では必ず高校卒業と同じ扱いになる」と決めつけず、希望する進学先や応募先の募集要項を確認します。
高校に在籍しながら受験できる場合もあります。退学しないと受けられない試験だと思い込まず、文部科学省の最新案内と在籍校へ確認します。
お金は月額ではなく卒業までの総額で確認する
転校や編入では、授業料以外にも費用が発生することがあります。候補校から書面の見積りを受け取り、卒業予定時期までの総額を比較します。
- 入学金、選考料
- 授業料
- 施設費、教育充実費
- 教材、制服、端末、通信費
- 登校や集中授業に必要な交通費
- 遠方での授業に必要な宿泊費
- 行事、実習、進路講座の費用
- サポート校や学習支援施設の費用
- 転校前の高校に残る支払い
- 途中で辞めた場合の返金条件
月額表示が安く見えても、入学時費用、施設費、教材費、支援費を合計すると負担が変わります。
就学支援金などの対象や手続きは、学校の設置区分、家庭の状況、在籍期間などで確認事項が変わります。広告の「実質無料」だけで判断せず、学校や自治体の案内を確認します。
親に申し訳なくて言えないとき
学費を払ってもらったこと、入学を喜んでもらったことが重く感じられ、退学を考えていると言えない人もいます。
しかし、限界まで黙ってから突然退学届を出すと、家族も学校も次の手続きを取りにくくなります。最初から結論を求めず、「辞めたい」だけでなく、「今のまま続けるのが難しいので、別の方法を調べたい」と伝えます。
今すぐ退学させてほしいという話ではない。朝の体調と学校での負担が続いていて、今の形のまま卒業するのが難しい。休学、転校、通信制、高卒認定を比較したい。まず学校で単位と手続きの期限を確認するのを手伝ってほしい。
親に申し訳なくて高校を辞めたいときの伝え方では、責め合いになりにくい会話の順序を詳しく整理しています。
友達がいないことと危険な状況を分ける
高校で友達ができないことはつらいものですが、「一人で過ごしている」「嫌がらせを受けている」「安全に教室へ入れない」は同じ状態ではありません。
- 休み時間を一人で過ごすことが苦痛なのか
- 班やペア活動で困るのか
- 無視、からかい、脅し、暴力があるのか
- SNS上の問題が学校生活へ影響しているのか
- 教室以外の場所なら過ごせるのか
- 特定の授業や曜日だけ負担が強いのか
状況を分けて伝えると、席、班、教室、登校時間、相談担当者など具体的な調整につながります。
高校に友達ができないときの具体策も参考にしてください。
退学を急がない方がよいサイン
- 今日起きた出来事だけで結論を出そうとしている
- 次の学校や学習方法を一つも確認していない
- 修得済み単位を知らない
- 退学後の生活リズムを考えていない
- 「どこへ行っても同じ」と考えて比較をやめている
- 周囲への罪悪感だけで進路を決めようとしている
- 体調が悪く、重要な説明を理解する余裕がない
- 一つの学校の説明だけで転校先を決めようとしている
この状態では、退学を否定するのではなく、決定を数日保留して情報を集めます。期限が迫っている場合は、在籍校と候補校へ同じ日に連絡し、いつまでに何を決める必要があるか確認します。
退学後に孤立しないための予定表
| 項目 | 先に決める内容 |
|---|---|
| 次の連絡先 | 学校、教育相談、自治体窓口など |
| 次の面談日 | 日付、時間、担当者 |
| 学習再開 | 開始日、教材、学習場所 |
| 生活リズム | 起床、外出、食事、就寝の目安 |
| 進路確認 | 状況を見直す日 |
| 体調の相談 | 必要に応じて利用する医療機関や相談先 |
「一度休んでから考える」場合も、予定を完全な空白にするのではなく、次に話す日だけは決めておきます。休むことと孤立することは別です。
退学届を出す前の最終チェックリスト
- 退学届はまだ提出していない
- 修得済み単位を確認した
- 今年度の修得見込みを確認した
- 在籍を維持できる期限を確認した
- 休学制度と費用を確認した
- 転入可能な学校を複数確認した
- 編入時期と必要書類を確認した
- 卒業までの年数を候補校へ確認した
- 年間総費用を書面で受け取った
- 本人が候補校の学習方法を理解した
- 困ったときの担当者を確認した
- 次の相談日を決めた
すべてにチェックが付くまで退学できないという意味ではありません。知らないまま手続きを進め、後から「先に確認すればよかった」となる項目を減らすための一覧です。
一次情報の確認先
- 文部科学省:高等学校中途退学問題への対応について
- 文部科学省:通信制高等学校情報発信サイト
- 文部科学省:高等学校通信教育の質の確保・向上
- 文部科学省:高等学校卒業程度認定試験
- 文部科学省:単位制高等学校について
高校を辞めること自体が失敗なのではありません。苦しい状態を放置せず、使える制度と次の進路を確認して、学び方を組み直すことが大切です。
今の高校を続ける場合も、別の高校へ移る場合も、本人が安全に生活しながら次の一歩を選べる状態を先に作ります。
何時間で単位に影響するかは学校ごとに違います。科目ごとの確認方法を先に見てください。
欠課の確認方法を見る →

